障害福祉サービスの「常勤」「常勤換算」について分かりやすく解説します。
常勤と常勤換算
例えば、次のような障害福祉サービス事業所(A事業所)があるとします。
・営業日 月~金
・営業時間 8:00~17:00
A事業所の場合、月曜から金曜まで、8:00~17:00の8時間勤務をする職員のことを「常勤」と言います。
上のシフト表の「〇田〇男」さんは、常勤職員です。
計算式で言うと、
「1週間の合計勤務時間」÷「常勤の職員が1週間に勤務すべき時間数」=「1.0」となれば、常勤となります。
上のシフト表で言うと、40÷40=1.0 なので、「〇田〇男」さんは常勤となります。
※「〇田〇男」さんが正社員でもパート・アルバイトでも、「常勤」となります。
常勤換算とは
さきほど、計算式に当てはめて「1.0」になったら常勤です、という説明をしましたが、この「1.0」が、常勤換算です。
こちらのシフト表では、「□川□子」さんが、月曜から金曜まで、8:00~12:00の4時間勤務しています。
「□川□子」さんは、1週間に20時間勤務なので、1週間に勤務すべき時間数である40時間に足りていません。
さきほどの計算式に当てはめると、20÷40=0.5 となります。
そのため、「□川□子」さんは、非常勤職員で、常勤換算「0.5」となります。
ちなみに、「〇田〇男」さんと「□川□子」さんの常勤換算の合計は、「1.0」+「0.5」=「1.5」となります。
※計算の結果、例えば「0.53」や「0.57」になった場合、少数点以下第2位を切り捨てて「0.5」とします。
祝日がある場合の常勤換算方法
A事業所が、祝日を休みにしている場合の常勤換算方法を説明したいと思います。
このシフト表では、8日(月)が祝日で、事業所が休みとなっています。
事業所の営業日が通常より1日少ないため、常勤職員が1週間に勤務すべき時間数が38時間となります。
(4週合計152時間÷4=1週間38時間勤務)
そのまま計算式に当てはめて、常勤換算を算出してください。
1日の勤務時間が8時間以下の場合
A事業所の営業時間が、9:00~16:30(6.5時間勤務)の場合を考えてみます。
1日6.5時間×週5日営業なので、4週合計130時間、1週間32.5時間が常勤職員の勤務時間となります。
今回、常勤職員が1週間に勤務すべき時間数が32.5時間となっていますが、常勤として計算できる最低時間数は32時間と決められています。
営業時間を短く設定したい事業所さんは、1週間32時間を下回らないようご注意ください。
病欠や有休などの場合の常勤の考え方
常勤職員が、病気で休んだり、有休を取得したりして、不在の日もありますよね。
その場合、休んだ日も、常勤として勤務したものとして、常勤換算に含めることができます。
ただし、欠勤日を常勤換算に含める事が出来るのは、常勤職員だけです。
非常勤職員は、欠勤日を常勤換算に含める事はできません。
また、常勤職員であっても、欠勤日が1ヶ月を超える場合は、常勤換算に含める事が出来ません。
※常勤換算に含める事が出来るのは、病欠や有給休暇等・休職等と定められていますが、出張、研修も含まれると解釈されています。
育児や介護による短時間勤務の場合の常勤の考え方
常勤職員が、育児・介護休業法による短時間勤務制度の対象者で、対象者が1週間に勤務すべき時間数を30時間としているときは、30時間勤務することで「常勤」として取り扱うことができます。
育児による短時間勤務制度の対象者になるのは、次の要件をすべて満たす職員です。
- 3歳未満の子を養育する従業員であって、短時間勤務をする期間に育児休業をしていないこと
- 日々雇用される従業員でないこと。
- 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
- 労使協定により定められた適用除外者ではないこと
また、介護による短時間勤務制度の対象者となる職員は、日々雇用される職員以外の全ての職員です。
ただし、勤続年数1年未満の職員と、週の所定労働日数が2日以下の職員については、労使協定がある場合には、対象となりません。
産前産後休業や育児・介護休業の場合の常勤の考え方
常勤職員が、産前産後休業や育児・介護休業、育児休業に準ずる休業、母性健康管理措置としての休業を取得した場合、勤務実績がない休業期間中は、常勤換算に含める事はできません。
ただし、同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算することで、人員配置基準を満たすことができます。
「同等の資質を有する」とは、休業している常勤職員と同じ程度の勤続年数や、所定の研修の修了などの各施設基準や、加算の算定要件として定められた資質を満たすことと定められています。
個々のケースにより判断が分かれると思いますので、所轄庁に確認するのが良いと思います。
勤務時間を明確に
常勤職員の勤務時間や、育児・介護休業法による短時間勤務制度を利用する場合の勤務時間など、常勤換算の根拠となる勤務時間は、実地指導などの際にしっかり説明できるように、就業規則で定めておくことをおすすめします。
コメント